mako2270’s diary

趣味は声優さんがお話するのを座って聴いたり眺めたりすることです

作詞家が語るイベントに行ってきた

よくわかんないけどとりあえず松井五郎さんが出てるので行ってみた。

松井五郎さんといえば、田村ゆかり楽曲の作詞が40曲くらいあって、ぼくの好きな曲を挙げるだけでも "レゾンデートルの鍵" "Gratitude" "Endless Story" "I DO 愛" "ひとりあやとり" "雨のパンセ" "Luv Fanatic" とキリがない。

話の中で35年で3000曲作詞してるなんて話が出てすげーと思ったけど、今思い返すとその中の50分の1くらい(サバ読み)は田村ゆかり楽曲なんじゃんと思った。

お二方の代表曲は80年代とかが中心で全然わからないかと思いきや、ぼくなんかでも知ってるような名前もチラホラ出てきて、やべーすげー人たちなんじゃんってなった。

そんなわけで面白いと思った話を箇条書きで書いておく。

 

  • 松「売野さんはタイトルの輪郭の強さがある。本のタイトルのような。タイトルだけでどんな曲かが想像できる」売「タイトルは先に作る。無いと歌詞が書けない。たまにアルバム作成中に良いタイトルが思いつくと、それは他の人のシングル用にとっておいたりする(笑)」
  • 売「自分の作り方ではタイトルは世界観の象徴的なものではない。まずタイトルが思いつく。そのタイトルが好きだからそこから発想を広げていく」
  • 松「自分は元々アマチュアで音楽をやっていたのもあって、言葉の文面もあるけど、口にした時の気持ちよさは気にしている」「いい歌詞でも曲と合う音数でないとはめられない。7つの音で5つの言葉になったりしたら無理で、そういう巡り合わせの縁みたいなものは感じている」
  • 売「タイトルは歌詞に使うけど、うまく当てはめるのは難しい。でも良いタイトルは不思議と合う場所がある」
  • 松「(坂本冬美の)"また君に恋してる" の『た』は日本語としては少し不自然で造語チックになっている。本来は『まだ君に恋してる』の方が自然。ただ『だ』は濁点が入って否定的な意味にもなる。だからあえて『また』にしている」
  • 売「曲先と詞先だと曲先の方が多い」
  • 松「自分はシンガーソングライターと一緒に作り上げていくことが多かった。売野さんはそうではなく作詞家として別の立場で作っているように見える。そういう意識はあるか」売「自分はシンガーソングライターと一緒は最初の方だけだった。でもオートマチックになりすぎてはダメとは思っている。アイデアを持っている人はたくさんいて、そういう人に救われたことはたくさんある」
  • 松「売野さんは歌手と密にやるタイプ?みなさん(観客)は作詞家の生態を知らないと思うが、全然歌手と会ったことないこともある。中森明菜とか」売「自分も中森明菜とは会ったことない(笑)」
  • 松「自分の中で作詞家になろうという明確なシフトはあったか」売「流れでなってた。そもそも自分の人生はアミダ方式だったので(笑)」松「作詞家って曲があってのものだし、人との出会いが本当に大切。自分も作詞家になろうという気はなくて需要に答えてたらこうなってた。でも言葉は好きですね」売「それはそう」
  • 松「(東京パフォーマンスドールの)『キスは少年を浪費する』これ売野さん好きでしょ」売「大好き(笑)」松「これで同じ技で太刀打ちしてもダメだと思った。やっぱりヒット曲の真似はダメで自分なりのオリジナリティは持たないといけない。この頃はデジタル化が進んでマーケティングが曲を作っている印象がある。誰もがやって売れることをみんながやってる感じ」
  • 松「詞に出てくる場所は本当にある?」売「全くの嘘ではない」松「自分の体験したことないことは?自分は体験したことなくて後付けは結構ある。だから打ち合わせのときに自分の知ってる方向に誘導したりとかはある(笑)」売「例えば海の歌詞を書いて、海を知っていないとこういう風には書けないというのはある。知らないとどうしてもパースが狂ってしまう」
  • 松「8割方打ち合わせで世界観が決まってないと、良いのができない気はする」
  • 松「バンドの作詞をしていて例えば売れてくるとどうしても色々問題が出てきたりする。そういう時は少し距離を置く?それとも入っていく?作詞家としてどれだけパーソナルなとこまで入っていく?自分は距離を置く」売「自分も離れる。そもそも人が寄ってこない(笑)」
  • 松「例えば世相として(戦争とか)求められる曲があって、でも2つのロックバンドで同じ歌詞を歌わせるわけにもいかない。自分はそういうときはそれぞれの側に立つというよりはカウンセリング的に対話をして良さを引き出して歌詞を作っていく感じ」
  • 松「近頃のシンガーソングライターは気になる?」売「音楽は聴いてるけど気にならない。みんな同じ言葉を使ってるように聞こえる。…言葉は悪いが貧困だなと思う」松「自分も比喩的表現が少ないと感じる。日記的、エッセイ的だなと。作詞家と比べると一音のこだわりが違う。曲が書けて長さを調整できる分、だらだら書いてるように思える」売「切実な思いがあるんだろうけど…正直どうでもいい。作詞というのは言葉と言葉のぶつかり合い。poerty、この有無が命。詩人の血というか」
  • 松「自分は一曲の中で"本当のこと"を一行くらいは書きたいと思っている。比喩表現、情景描写は技術で、練習すれば書ける。『このことを知ってる人だな』ということを書きたい。なるほど思える一行。そういう本当のことって書くのは勇気がいることだし、常に自分に問いかけ続けていることだから、書くのは難しいけど」
  • 松「同じものでも場所が違うと意味が違う。例えば包丁が台所にあっても普通のことだけど、ベッドにあると全然別の意味になる。そんな感じにシンプルな言葉をどう見せるかが技術だと思う」

 

(テレビ関係の人の質問の回答。内容は忘れた…)

  • 松「デジタルの時代、どこが着地点でいつがその人のピークなのかとかは考える。例えば震災前後で色々なことの意味が全然違う。いつその人がどう映るのか。正直な話、芸能は今すぐ歌わないといけないものもあるけど、その先にあるかもしれないチャンスを見据えることは重要だと思う。例えば玉置浩二とか、色々あったけど今はオーケストラをバックに歌ってる(笑)」
  • 松「一つの業界の中にいると考え方が周りと似通ってくる。その中心にいながらもアバンギャルドであってほしい」

(上と同じ人。上智の英文科出身のリリックへの影響について)

  • 売「自分はカタカナ英語は好き。名詞主義で松井さんと比べても名詞が多い。はい、ここまで(笑)」